観光庁の有識者会議「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」はこのほど、全国のDMO全体の底上げに加えて、政府が形成を目指す「世界水準のDMO」について方向性を中間報告にまとめた。インバウンドの誘客に対応した「先駆的なDMO」として、地域の特色などに応じた柔軟な選定を可能にするよう提言。観光庁は今年度、選定基準・手法などを具体的に検討する。
「世界水準のDMO」に関しては、政府の中長期的な観光振興構想「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月策定)の中で、「2020年までに世界水準のDMOを全国で100形成する」という政策目標が掲げられている。ただ、基準は未定のため、検討会で方向性をまとめた。
中間報告は「世界水準のDMO」について、同じ中間報告の中で全国のDMOを対象に示した「底上げに向けた改善の方向性」や、海外の事例を踏まえながら、「インバウンドの誘客に対応した先駆的なDMOであることを前提として、全国一律の定量的な基準ではなく、地域の特色やターゲットなどに応じた柔軟な選定が可能なものとするべき」と提言した。
重視される「持続可能な観光地域づくり」では、国際機関で構成されるグローバルサステイナブルツーリズム協議会(GSTC)が策定した基準「GSTC―D」などの国際基準も参考として、地域としての姿勢を明確化することも付け加えた。
「世界水準のDMO」の選定などについては、第三者である有識者によって選定されることとして、選定後も国と有識者が継続的に取り組みを把握し、国と地域が一体となってPDCAサイクルを回すよう求めた。
観光庁では今年度、中間報告を踏まえて有識者の意見を聞きながら、「世界水準のDMO」の選定に関する技術的な基準、選定手法などの制度設計を進める。